Diary - 制作日記

★34:IGDA SIG-Indie10 PlayStation Mobileの現状と可能性2/32013/06/04 (火)  23:18

2013年6月1日(土)に開催されたIGDA Japan SIG-Indie 第10回研究会「PlayStation Mobileの現状と可能性」の記事の続きです。
(長くなるので3ページに分けました。この記事は2/3の内容です。)


この記事はあくまでも私なりの解釈です。
発表者の真意とのギャップがある可能性がある事に注意して下さい。

※また、発表者の発言がIGDAの公式認識では無い事は明言されております。

【参考リンク】(幾つか足しました)

■INSIDE FOR ALL GAMERS (イベントレポートが掲載されております)
http://www.inside-games.jp/article/2013/06/05/67145.html
http://www.inside-games.jp/article/2013/06/07/67210.html
http://www.inside-games.jp/article/2013/06/08/67245.html

■SlideShare(SCE様の発表スライドが公開されております)
http://www.slideshare.net/igda_jp/ps-mobile-at-sigindie10

■PlayStationMobile DevPortal
https://psm.playstation.net/portal/ja/#register

■IGDA Japan
http://www.igda.jp/modules/bulletin/

前記事はこちら


④「『僕は森世界の神になる』がPlayStetionMobileで発売されるまでの流れ」
 講演者:isao 様(神奈川電子技術研究所)

実際にPSMで発売した神奈川電子技術研究所 様の講演。
神奈川電子技術研究所 様の『僕は森世界の神になる』はコミケなどの即売会でもリリースされていた作品。

今回、色々な方々と協力してPSM販売に至ったという経緯が説明されました。

・発売までの流れ

①PLAYSMでDL販売
②PLAYSMからピグミースタジオを紹介
③僕は新世界の神になるの亜種の制作
④ピグミースタジオがPSMへ移植・販売

・移植において行った事
  • 亜種verの作成(ステージ数の増加、キャラの追加など)
  • 英語版のタイトル決定
  • 虫眼鏡機能のデザイン
  • 意匠に引っかかりそうな名称の変更
  • ピグミースタジオとの打ち合わせ
・会社側で行った事
  • 多機種に解像度を合わせる
  • UIの見直し
  • 海外版へのローカライズ
  • 処理の最適化
・PSMで販売してみた感想
  • 有名ゲーム機で販売された事が嬉しい
  • 沢山の有名ニュースサイトで告知された
  • 発売後はネット上の盛り上がりは少なめ(?)
・移植してもらう為のコツ
  • オリジナルゲームである事(版権の関係上、許可を得やすい)
  • 一風変わったシステムのゲームである事
  • 外国人好みのゲーム
    (声を掛けてくるのは外国の方が多いらしい)
  • 文字が少ないゲーム
    (翻訳・移植コストが少ない)

⑤「PSMとXNA – とある同人サークルの一存」
 講演者:佐川 直樹 様(こびとスタジオ)

XNAやPSMでゲームのリリースを行っているこびとスタジオ様。
プラットフォーム」「」「パブリッシュ」の3つの観点からXNA, PSMを比較するという講演でした。

・プラットフォーム
XNA PSM
  • 現行世代では低迷
  • 新型機XBOX Oneでは旧XBoxとの互換が無くなる
    →LIVEインディーズゲームの代替サービスのアナウンスは無し
  • WindowsPhoneなんて無かった
  • XNAが開発終了宣言が出た
    →レガシー向けとなりそうな傾向
  • Vitaはこれから伸びてくるゲーム機
  • Vitaそのものがライフサイクルの終盤に入ったとしても、
    Xperiaシリーズが存在している事が大きなポイント
  • 一般的にはPCよりタブレット機に移り変わる傾向が強い
    →このポイントは更に大きくなってくる
・開発環境
XNA PSM
  • シェーダーを自分で実装し描画する必要
    (シェーダー言語はHLSL)
  • サウンドはXActを使用する方法、単純なAPIでアセットをロードする方法がある
  • デバッガが強力(VisualStudioのデバッガがとても強力)
  • シェーダーを自分で実装する必要
    (言語はnvidiaのcgをベース)
  • 固定レンダリングパイプラインを再現したライブラリ
  • 2DはGameEngine2Dの使用が推奨
    →Cocos2Dに似たライブラリで、シーングラフの概念を用いた描画エンジン
  • サウンドは単純なAPI、アセットをロード・再生する方法
    (マネジメントが必要な場合、自分で実装する必要あり)
  • デバッガはあまり協力では無く、
    実機動作時では処理速度が極端に落ちる
・パブリッシュ
XNA PSM
  • 審査はピアレビュー方式=インディーズゲーム開発者同市で行う方式
    →日本ではユーザ数減少で審査が遅延
    →海外ではソフト数が多すぎて審査が遅延
    →審査規範はコミュニティによる意思決定が強いが、日本は蚊帳の外
  • 審査後は48時間以内に配信開始
  • 審査において混合言語問題あり
    →日本度とアルファベットを混合してはダメ。
     言語は基本的に統一しなければならない。
     日本特有の問題らしい
  • 海外での販売のため、税金の手続きが必要
  • ドルでの支払いとなる為、為替の影響を受ける
  • 審査はプラットホームホルダーが行う
  • 審査終了後から配信のタイミングは未定(?)
  • 海外に対して配信する場合は輸出の扱い
    →暗号化処理を用いた場合は法令順守の手続きが必要となる
  • 混合言語問題なんて無い

・自国のプラットフォームは優しい、でも作るのは今はちょっと大変


⑥「PSMで多言語ノベルゲームを作る – シムシップ(世界同時配信)を狙う、あるサークルの野望と現実」
 講演者:マサシロウ 様(ぜろじげん)

多言語対応のゲーム開発を行っているサークルぜろじげん。
現在PSMで複数言語対応のアドベンチャー&ポーカーゲーム「Royal Red Rayal」を開発中との事。
PSMにおける多言語開発について、デベロッパー視点での講演でした。

・触ってみた感想
  • 高解像度でスペックが高い
  • 発色が良く素敵
  • 使いやすいサンプルコードが用意されており、数も多い
  • 結構処理落ちする
  • みんなVitaあまり持っていない
・開発しやすいところ
  • UIComposerが使いやすい
  • エディタはMonoDevelopでUnityと共通しており、作りやすい
  • 使用言語がC#なので作りやすい
  • 解像度が高く、デザインやレイアウトを作りやすい
・開発しにくいところ
  • 動画再生に対応していない
  • Devnet的なものが掲示板のみ
    →あまり回答が期待できない
  • サンプルでも結構できるが、
    独自の事をしようとするとかなり大変
  • Flash対応を謳っているが、かなり未対応な部分がある
    →ActionScript未対応だったり
・SIMSHIP(世界同時提供)の可能性
  • 多言語開発のし易さ
  • 開発~審査まで一貫した流れで制作が可能
  • 審査についてCERO, ESRB, PEGI等の審査が一括でできる
  • UIコンポーネントが使いやすい
  • 海外でもPSVita, Xperiaが普及している地域では強い
  • 日本語のドキュメントが存在する
・多言語開発の懸念
  • 表現基準のガイドラインが無い
    →日本基準と海外基準の統一は?
  • UIコンポーザーの対応言語
    →EFIGS以外にも中国・タイ語対応してほしい
  • 製品紹介ページの言語チェックシステムは?
  • そもそも海外でPSVita, Xperiaが普及していない地域もある為、
    注意が必要
・ここに期待したい
  • パブリッシャーライセンス有料化のタイミング
  • Flashにもっと対応してほしい
  • デベロッパーサポート体制を整えてほしい
  • Storeを改善してほしい(ゲーム紹介やレビューシステム等…)
  • PSVitaが売れてほしい
  • みんなPSVitaで開発してほしい
  • 幸せになりたい

⑦「PSM向けノベルゲームの開発の課題」
 講演者:山田 八畳丸(サークルやまどん!)

PSMにてノベルゲームを制作しておられるサークルやまどん!
PSM版オリジナルのノベルゲーム制作エンジンを作成との事。
レイヤーの概念が通じなかったりする初心者でも使用できるスクリプトを使用。(すごい!)
詳細はブログの方に掲載しているとの事。

また、即売会での売り上げに比べ、PSMでの販売数は約50倍(!)に増加したとか。

・PSMのよいところ
  • C#なので記述が簡単
  • PSStoreで配信が可能
  • PSVitaで動作
  • ガイドライン、手続きが日本語で行える
・PSMのわるいところ
  • C#を使える人がいなかった
  • PSMを説明してもなかなか知名度が低い
  • 参考書が存在しない
  • 処理落ちやバグなど

PSMではNScropterや吉里吉里のようなエンジンは聞きませんが、
それを独自に作ったとの事で、これは凄い!

今後はこういった制作ツールが出てくると大分盛り上がりそうな気がしますが…。


もうちょっとだけ続くんじゃ。

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